2026年から導入が検討されている「プラチナNISA」は、高齢者向けに毎月分配型の投資信託をNISA対象に加えるという制度です。しかし、ファイナンシャル・プランナー(FP)浦上登氏は「分配型は投資効率が悪く、注意が必要」と警鐘を鳴らします。
分配型は複利効果を得られない
通常のNISAでは分配金再投資型が推奨されてきました。これは運用益を再投資するため、複利効果が得られ、長期的に資産が増えやすいのが特長です。一方、分配型は運用益を投資家に配当するため、資産を増やす力が弱まります。
さらに問題なのは、運用益が足りない場合、元本から分配金が支払われる「元本毀損」が起こることです。これにより、投資元本が減少し、将来的な収益力も落ちてしまいます。
人気ファンドの実例で検証
「グローバル・ソブリン・オープン」という大人気ファンドを例に、分配型と再投資型の違いを検証したところ、再投資型の投資リターンは108%と、元本の2倍以上になったのに対し、分配型は46%のリターンにとどまりました。
分配型は毎月の分配金は受け取れるものの、結果的に元本が約半分に減少。実力以上の分配金を長年支払っていたことが、成績に悪影響を与えたとされています。
複利効果は長期でこそ活きる
仮に100万円を年利5%で運用した場合、単利では10年で150万円になりますが、複利では162万円に。20年、30年と時間が経てば経つほど、この差は拡大していきます。
高齢者といえども、平均余命を考えれば20年以上の運用期間も見込まれます。そのため、長期的な複利効果を得られる再投資型の方が、理にかなった選択となります。
手数料の面でも分配型は不利
もう一つのデメリットは手数料です。分配型の信託報酬は1%超が一般的で、中には2%近い商品もあります。長期間持ち続ければ、手数料の差が投資成果に大きく影響します。再投資型の方が圧倒的に手数料が低く、コスト面でも有利です。
高齢者の資産運用に必要なのは「再投資型+計画的な取り崩し」
浦上氏は、高齢者には「毎月分配型を買う」のではなく、「再投資型で運用し、毎年定額または定率で取り崩す」スタイルを勧めています。これにより、複利効果を活かしつつ、生活資金も安定して確保できます。
結論:「プラチナNISA」は推奨できない
見かけの毎月分配に惹かれて投資しても、実際には元本毀損や低リターンのリスクが高くなります。手数料も高いため、高齢者にとって「プラチナNISA」は合理的な選択とは言えません。
資産を効率よく増やし、老後の安定したキャッシュフローを確保するためには、複利の力を最大限活かせる「再投資型の投資信託」こそが、最も堅実な選択肢です。
